ゾーンベースのトレーニングは長らく持久系スポーツの基礎となってきましたが、近年新たに注目を集めています。特にゾーン2の強度は、多くのエリートアスリートやコーチによって普及しています。COROSは、アスリートが個々のペースゾーンを明確に把握できるようにし、科学的トレーニングを簡素化します。初心者からエリートランナーまで、これらのゾーンはよりスマートなトレーニング、より良いリカバリー、そしてパフォーマンス目標の達成を可能にします。
ペースゾーンとは何ですか?
COROSのペースゾーンは、アスリートが目標に応じた適切な強度で走れるようガイドすることで、科学的トレーニングを支援します。これらのゾーンは、乳酸閾値ペース(身体が急速に疲れ始めるポイント)に基づいて、軽いリカバリーランからハードなスプリントまで、ランニングを6つの明確な範囲に分割しています。COROSは、ランニングデータやフィットネステストのデータを使用して、現在のフィットネスレベルに合わせてこれらのゾーンを設定するため、さまざまなワークアウトでどのくらいの速度で走るべきかが正確に把握できます。以下では、トレーニングを導くための詳細な情報とともに、各ゾーンについて詳しく説明します。
ゾーン1:リカバリー(低強度)
- 目的:脂質代謝を高め、激しいトレーニングセッション間の回復を促進します。
- 強度:非常に低く、呼吸や会話が楽なレベルで、この強度は数日間継続できます。
- 生理学的効果:有酸素ベースを向上させ、ミトコンドリアの成長を高め、筋肉の修復を助けます。
- 適用:ハードなトレーニング後のリカバリーランや、インターバル間のジョギングに最適です。また、スタミナ強化を目指す初心者や、レース後のリカバリーを目指すエリート選手に最適です。
- 例:ハイキングやリカバリージョグで、心拍数を低く抑え、無理のない運動を心がけます。
ゾーン2:有酸素持久力ゾーン(低強度)
- 目的:持続的な持久力のための有酸素ベースを築きます。
- 強度:低〜中程度。会話はできるが、着実な負荷を感じるレベルです。この強度は数時間持続できます。。
- 生理学的効果:心血管系の効率を高め、毛細血管密度を増加させ、長距離走に必要なスタミナを向上させます。
- 適用:持久力トレーニングに取り組んでいるすべてのアスリートにとって不可欠です。
- 例:通常の軽いランニング、または毎週のロングラン。
ゾーン3: 有酸素パワーゾーン(中強度)
- 目的:より速いペースの維持能力を向上させ、マラソンまたはハーフマラソンのトレーニングに最適です。
- 強度:呼吸が著しく速くなって会話がやや困難になる、チャレンジングですが持続可能なレベルです。この強度は1~3時間維持できます。
- 生理学的効果:乳酸の再利用能力を高め、有酸素能力を強化してレースペースでの運動に備えます。
- 適用:レースの状況を想定したテンポ走や安定した運動に適しています。
- 例:テンポ走またはマラソンペース走。これらのランは、一律ではなく、段階的に行うこともできます。例えば、10分間走×4本(R:2分間ジョグ)などです。多くのマラソン選手は、ロングランの途中でもこのペースを取り入れます。

ゾーン4:乳酸性閾値ゾーン(中強度)
- 目的:乳酸性閾値(およそ10kmペース)またはその付近でトレーニングすることで、持久力を高めます。
- 強度:閾値ペースの約2~5%上下で、30~60分間、キツいと感じながらも持続できるレベルです。
- 生理学的効果:乳酸閾値を上昇させ、より高い強度を長時間維持できるようにします。
- 適用:レースタイムの向上を目指す中級ランナーや、閾値走に慣れているエリートランナーに最適です。このゾーンは最も効果的なトレーニングゾーンであり、多くのアスリートがこのゾーンを集中的にこなしています。
- 例:閾値ペースでのインターバルトレーニング。合計約30分間のトレーニングで、間に短い休憩を挟みます。例えば、6分間走×5本(R:2分間ジョグ)などです。このゾーンでのおもな目標は、負荷をコントロールすることです。
ゾーン5:無酸素持久力ゾーン(高強度)
- 目的:まだ最大の負荷ではありませんが、おもにVO2maxを向上させるための高強度トレーニングに適用されます。
- 強度:VO2maxペースに近く、呼吸が苦しくなる状態で約3~8分間維持可能なレベルです。
- 生理学的効果:酸素摂取量と無酸素パワーを向上させます。
- 適用:5kmから10kmのレースでのパフォーマンス向上に不可欠です。
- 例:VO2maxペースでのインターバルトレーニング。合計約15分間の運動と、その間にほぼ均等な休憩を挟みます。例えば、3分間走×5本(R:3分間ジョグ)などです。
ゾーン6:無酸素パワーゾーン(高強度)
- 目的:スプリント速度と爆発力を向上させます。
- 強度:全力疾走のペース、またはそれに非常に近いペース。この強度は最大で3分間しか維持できません。
- 生理学的効果:スプリントフィニッシュに必要な速筋線維と神経筋の協調性を強化します。
- 適用:トラックのスプリンターや、短距離の爆発的な運動を目指すランナーに最適です。
- 例:8分間のトラックピラミッド(90秒のリカバリーを挟んだ200m×4本のスプリントなど)
ペースゾーンの確認方法
現在のペースゾーンは、複数の場所からアクセスできます。
- COROS Training Hubのページ:最新のゾーンを確認するには、ここが1番簡単です。
- 個々のアクティビティ内:ワークアウト後、ウォッチ、COROSアプリ、Training Hubでは、各ゾーンで費やした時間が表示されます。

COROSアプリのアクティビティサマリーにおけるペースゾーン
COROSのヒント:ペースゾーンと出力ペースゾーンは同じ範囲を使用します。出力ペースは地形に基づいてペースを調整し、同レベルの努力感で平地で走る場合のペースを表示します。
ゾーン固定で過去データの正確性を維持
ペースゾーンは、フィットネスの変化に合わせて時間の経過とともに更新されます。ただし、COROSは新しいゾーンを過去のワークアウトにまで遡ってまで適用することはありません。つまり、アクティビティデータは常にその日に有効だったゾーンを反映し、トレーニング負荷とフィットネス履歴の正確性が保持されます。
ペースゾーンはどうやって決定するのか?
ペースゾーンは、サイクリングで使用されるパワー・デュレーションモデルに着想を得た、科学的に検証されたツールであるペース・デュレーションモデルを使用して計算されます。このモデルはランニングデータを分析し、3つの主要なパラメータを導き出します。
- 最大速度:COROSデバイスと二周波GPSの組み合わせで、高精度な1秒間のスプリント速度を測定します。
- 無酸素運動:1分間で走れる最大距離で、無酸素能力を反映します。
- 限界速度:持久力トレーニングの基準となる、持続可能な10km走または閾値ペースに近い速度です。

これらのパラメータは、個々のランニングデータによって測定され、COROS EvoLabのデータシステムによって、高度に個別化されたペースゾーンをはじき出しています。
コーチングからの学び
トレーニングの細かい調整にこだわるコーチにとって、ペースゾーンはアスリートをより科学的なアプローチでトレーニングするうえで非常に役立ちます。ペースゾーンはランニングフィットネススコアとレース予測機能に直接リンクされているため、ウォッチがフィットネスの向上を検知すると、ゾーンとレースタイムの予測も更新されます。これによって、トレーニングは常に現在の状態と一致します。フィットネスの向上に合わせてゾーンも進化するため、どんなワークアウトでも常に適切なペースを把握できます。
| ペースゾーン | ランニング能力 | 1回の練習時間 | トレーニング例 |
| リカバリー | ベース構築 | 任意 | ストレッチや簡単なジョギング |
| 有酸素持久力ゾーン | ベース構築 | 45分~2時間 | 水分補給を行う長距離走 |
| 有酸素パワーゾーン | 持久力 | 30-45分 | マラソンペース付近のテンポ走 |
| 乳酸性閾値ゾーン | 持久力 | ~30分 | 短い休憩を挟む閾値走 |
| 無酸素持久力ゾーン | スピード | ~15分 | VO2maxインターバル |
| 無酸素パワーゾーン | スプリント | ~8分 | 長い休憩を挟むスプリント |

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